近自然工法とは



近自然工法は、地球規模の環境問題が国際的に問われ始めた1970年代、破壊された自然生態系の復元工法としてヨーロッパのスイスやドイツで誕生した。その思想と技術は、河川改修や森林の整備手法として、また道路や都市の基盤整備にも応用され、持続可能な地域づくりの重要な基本コンセプトともなっている。

この工法の特徴は、河川の水際や森の林縁部のような、異なる生態系が接する境界領域に着目することである。そこには、それぞれの生態ピラミッドの底辺を構成する、多様な生物種が出現する。また、その境界領域が存在することによって、各生態系はそれぞれの独立性を保つことができている。しかし、過去の開発行為によって、これらの環境は破壊されることが多かった。

一旦破壊された生態系が、元の成熟した状態に回復するまでには、自然の遷移のみに委ねた場合、多くの年月を要する。これを人間の手によって、ある程度まで回復させるのが、近自然工法の役割である。それは、自然の発展を阻害する障害を取り除き、自然自らが発展できる領域をできる限り広げ、その成長を助ける手段を講じることである。

近自然工法の概念図

河川

登山道

敷地造成




わが国で発展した近自然工法の事例

青森県・大畑川   (1997)  水制工
青森県・易国間川   (1998)  護岸工
高知県・鏡川      (2003)   瀬と淵の再生1
長野県・鳥居川     (1999) 分散型落差工
福岡県・岩岳川     (2003)  瀬と淵の再生2
福岡県・遠賀川     (2004)  護岸の整備とみお筋の強調
滋賀県・大石川     (2005)  住民参加による川づくり
熊本県・上内田川   (2004)  河岸の修景
北海道・目名川     (2000)  ダム付け替え水路
鹿児島県・引ノ平川  (2002)  火山砂防(斜路工)
青森県・中野川(2005-2007 近自然魚道工)
青森県・大畑川(2006-2009) 落差工・魚道工

鹿児島県・屋久島 (1998) 緩斜面での踏み石の設置
山梨県・瑞牆山   (2002) 崩壊跡の斜面を横断する登山道
群馬県粕川村・サンデンフォレスト(1998-2002) わが国初の近自然工場敷地造成工事
愛知県豊田市・児の口公園    (1995-)    小川の復活に始まった近自然公園づくり
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