近自然工法は、地球規模の環境問題が国際的に問われ始めた1970年代、破壊された自然生態系の復元工法としてヨーロッパのスイスやドイツで誕生した。その思想と技術は、河川改修や森林の整備手法として、また道路や都市の基盤整備にも応用され、持続可能な地域づくりの重要な基本コンセプトともなっている。
この工法の特徴は、河川の水際や森の林縁部のような、異なる生態系が接する境界領域に着目することである。そこには、それぞれの生態ピラミッドの底辺を構成する、多様な生物種が出現する。また、その境界領域が存在することによって、各生態系はそれぞれの独立性を保つことができている。しかし、過去の開発行為によって、これらの環境は破壊されることが多かった。
一旦破壊された生態系が、元の成熟した状態に回復するまでには、自然の遷移のみに委ねた場合、多くの年月を要する。これを人間の手によって、ある程度まで回復させるのが、近自然工法の役割である。それは、自然の発展を阻害する障害を取り除き、自然自らが発展できる領域をできる限り広げ、その成長を助ける手段を講じることである。
