基礎学術研究

設立当初より、所員の自主的な調査研究を奨励しています。得られた研究成果は関連学会等に公表することに努めています。

URBIO20100519-21_031

1.近自然工法

自然、特に河川は各現場で特徴があり、また絶えず、新しい課題がでてきます。弊社では、創業者・福留脩文の時代から、新しい取り組みにチャレンジさせてきていただいており、追跡調査等を基に新たな取り組みの理論的な構築を目指すとともに、次なる新たな課題解消への技術開発も行っています。
また、地域への還元・次世代への継承のため、論文等へとりまとめ、発表できるよう研究を進めています。

関連論文(抜粋)

●福留脩文.2011.治水と環境の両立を目指した川づくりの技術的考え方とその適用性に関する研究.中央大学学位論文

●福留康智・藤田真二・宮崎慈子.2020.中小河川の維持管理に有効な自然石空積みによる横断構造物の設計手法.河川技術論文集 26;437-442.

●福留康智・藤田真二・宮崎慈子・西村健二.2021.仁淀川中流域において長期的に維持されている置石による瀬の環境改善とその有効性.河川技術論文集 27;147-152.

●藤田真二・福留康智・宮崎慈子・池野裕貴・冨永剛史・山下正浩.2021.物部川深渕床止めで実施された自然石を用いた魚道改良の手法と効果.令和3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会

●福留康智・宮崎慈子・藤田真二.2022.奄美大島・役勝川で行った沖積砂礫河川の川(瀬・淵)づくりとその有効性.河川技術論文集 28;187-192.

●佐々木真・福留康智・早坂尚史・阿戸理樹.2023.細粒土砂補捉に配慮した河道内沈砂地の設置の効用と地域に果たした役割.河川技術論文集 29;509-514

●福留康智・宮崎慈子.2023.九州北部豪雨対応で行った沖積砂礫河川の川づくりとその検証.河川技術論文集 29;521-526

◆研究実績1-近自然工法-はこちら

2.基礎学術研究

研究領域-Ⅰ 魚類初期生活史に関する研究

土佐湾の砂浜海岸砕波帯がスズキ属、ヘダイ亜科、アユ等の水産重要種を含む多様な魚類の成育場として利用されている発見に始まり、四万十川河口域、有明海等の沿岸の浅所における仔稚魚に焦点を当てた研究を行ってきました。
これら成果は、関係学会へ随時発表するとともに、4件の博士論文としてまとめられました。また、これら研究の多くは、高知大学をはじめとした各地の研究機関との共同体制で実施しており、これにより研究内容は大きく広がりつつあります。

関連論文(抜粋)

●Fujita, S., I. Kinoshita, I. Takahashi and K. Azuma. 2002. Species composition and seasonal occurrence of fish larvae and juveniles in the Shimanto Estuary, Japan. Fisheries Science 68; 364-370.
●藤田真二・木下泉・川村嘉応・青山大輔. 2007. 有明海におけるスズキの初期生活史の多様性. 海洋と生物 29(1); 47-54.

研究領域-Ⅱ 水産資源生物の生態学的研究

土佐湾に注ぐ河川、河口域では、アユ、アオノリ等の水産資源が豊富に生息・生育しており、地域経済を支える重要な資源ともなっています。これら生物資源の持続的利用のためには、彼らの生態に関する知見を集積することが重要です。
アユを対象とした研究については、1980年代の砕波帯での仔稚魚の発見に始まり、成育場としての河口域での生態研究、土佐湾沿岸、和歌山沿岸、ダム湖等において彼らの初期生態を解明するための研究を継続しています。テナガエビ類については、四万十川での成長、成熟等の資源生態についての調査研究を高知県と共同で行いました。四万十川の特産品であるスジアオノリについては、河口域の水質(栄養塩)の挙動と品質との関連についての新たな視点からの調査研究を行っています。これら研究の多くは、高知大学をはじめとした各地の研究機関との共同体制で実施しており、これにより幅広い研究が展開できる環境にあります。

関連論文(抜粋)

●Azuma, K., I. Takahashi, S. Fujita and I. Kinoshita. 2003. Recruitment and movement of larval ayu occurring in the surf zone of a sandy beach facing Tosa Bay. Fisheries Science 69; 355-360.
●高橋 勇夫・ 藤田 真二・ 東 健作・ 岸野 底. 2020. 産卵床の磯間から漂流水への浮上が沈滞するアユ稚魚. 応用生態工学23(1); 47-57.

研究領域-Ⅲ 沿岸域の生物生産とのつながりの解明に関する調査研究

陸域環境と汽水~沿岸域の生物生産とのつながりの解明に関する調査研究

本調査研究の主たる目的は、森林を主体とする陸域環境と河川水質との関連性を捉え、その河川水が汽水域や沿岸域の生物生産に与える影響について科学的に証明することです。そのためには、河川の源流域から沿岸域までの物質移動や季節変化、それに対する水生生物の応答を捉えることが重要と考えています。
現在は「最後の清流」四万十川と「世界最大の海流」黒潮の交錯圏である四万十川汽水域~土佐湾をフィールドとし、生物生産を底辺で支える基礎生産(河川の付着藻類、汽水域や沿岸域の大型藻類や植物プランクトンなど)の状態とそれを左右する栄養塩(窒素、リン、ケイ素の無機溶存態)の流れに注目した調査を行っています。
この研究成果が森林~河川~汽水域~沿岸域を繋ぐ河川流域圏の一体的管理に活かされ、水産資源の保全と永続的な利用につながることを期待しています。

関連論文(抜粋)

●和吾郎・藤田真二・東健作・平賀洋之. 2014. 高知県物部川の大規模山腹崩壊に伴う濁質の流出特性の変化. 陸水学雑誌75(1); 13-26.

●和吾郎・木下泉・平岡雅規・東健作. 2018. 四万十川河口域の栄養塩変動がスジアオノリの藻体長と色素含有量に及ぼす影響. 藻類66(1); 7-16.

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